大相撲七月場所千秋楽。巴戦になってほしいというワタシの願いは届きませんでした。結びの一番の前で、2敗の東前頭17枚目・照ノ富士と3敗の西関脇・御嶽海が対戦。照ノ富士が勝てば優勝が決まり、御嶽海が勝てば、照ノ富士と、結びの一番の新大関・朝乃山-東関脇・正代の勝者が3敗で並び、巴戦になったのですが、そうはなりませんでした。
照ノ富士は立ち合いすぐに四つに組むと、御嶽海の攻めを封じながら前へ。渾身の力を込めて寄り切りました。見事な相撲でしたね。巴戦には持ち込ませず、なんとしても本割で決める、そんな気迫に満ちあふれていました。
13勝2敗で、5年2ヶ月ぶり2度目の賜杯。今回の照ノ富士の優勝は、記録づくめです。
・幕内で最も番付が低い〝幕尻〟での優勝は3人目
・2015年五月場所以来、30場所ぶりの優勝は史上2番目のブランク
・大関経験者が関脇以下で優勝するのは昭和以降2人目
そして何より、序二段まで番付を落とした幕内経験者が再入幕を果たしたのは史上初。もちろん優勝も史上初となります。
実際、照ノ富士の相撲人生は波乱万丈です。2015年五月場所で初優勝し、大関に昇進しますが、左ひざのけがのため、2017年九月場所後に大関から陥落。その後、番付は落ちる一方でした。東十両8枚目で途中休場(再出場)した2018年五月場所から5場所連続休場(続く4場所は全休)。両膝の手術を経て、2019年三月場所で復帰した際には、西序二段48枚目まで番付を落としていました。
いわば、大相撲史に残る史上最大の復活優勝。今年の11月29日で29歳ですから、まだいけるでしょう。再度、大関昇進を実現させてほしいですね。