日付け変わって11月10日、福岡国際センターで大相撲十一月場所が開幕します。一年納めの場所、今場所の主役候補はもちろん、新大関・大の里を置いてほかにありません。
大の里は今年、新入幕で迎えた一月場所でいきなり11勝を挙げ、番付を西前頭5枚目に上げた三月場所は11勝、西小結の五月場所は12勝で初優勝、西関脇の七月場所は9勝、同じく西関脇の九月場所は自己最多の13勝を挙げて2度目の優勝。場所後に大関に昇進しました。新入幕から先場所まで、5場所連続の三賞受賞(一月場所敢闘賞、三月場所敢闘賞&技能賞、五月場所殊勲賞&技能賞、七月場所殊勲賞、九月場所敢闘賞&技能賞)も、史上初の快挙でした。
現在唯一の横綱・照ノ富士は、両ひざの負傷と糖尿病で全休した九月場所に続き、今場所も調整遅れのため全休。今年は2度の優勝を果たしていますが、もう体が限界にきているのは否めません。現役引退の時期は近いでしょう。
早いとこ誰かが横綱になってくれないと、番付から横綱が消えてしまう可能性があります。ワタシとしてはそれは避けてほしいし、次の横綱が誕生するまで休場し続けてもかまわないと思っていますが、周囲がどこまでそれを許すかはわかりません。
ここはもう、大の里に期待するしかないでしょう。新大関で2場所連続3度目の優勝を果たし、一気に綱取りに王手をかけてもらいたいと思います。新大関で優勝すれば2006年五月場所、後に歴代最多45度の優勝を果たす白鵬以来、18年ぶり9人目で、さらに関脇、新大関と連続優勝すれば、歴代最長69連勝を飾った双葉山以来、87年ぶりの偉業達成。インパクトは十分といえます。
データ&記録好きとしては西前頭16枚目・尊富士にも注目です。三月場所で13勝を挙げ、110年ぶり2人目の新入幕優勝を果たしながら終盤戦で右足首を痛め、翌五月場所は全休して十両に転落。続く七月場所も2日間の出場にとどまり、九月場所で13勝を挙げて十両優勝を果たし、3場所ぶりに幕内復帰を果たしました。
尊富士は一月場所に13勝2敗で十両優勝を果たしているので、皆勤した3場所はすべて優勝。不戦勝1と不戦敗1を除く今年の勝敗は40勝6敗と圧倒的な成績を残しています。大の里には三月場所でも完勝しており、今後の角界を背負って立つ力士のひとりになる可能性は十分。今場所、終盤戦で大の里と対戦が組まれるぐらいの活躍を見せてほしいですね。
なお、年間最多所争いはやはりというべきか、大の里がトップに立っています。現時点の順位は以下のとおり。赤字は優勝です。
一月 三月 五月 七月 九月 十一月
①大の里 56勝(11勝 11勝 12勝 9勝 13勝 ? )
②琴櫻 52勝(13勝 10勝 11勝 10勝 8勝 ? )
③豊昇龍 48勝(10勝 11勝 10勝 9勝 8勝 ? )
④平戸海 43勝(8勝 9勝 9勝 10勝 7勝 ? )
⑤大栄翔 42勝(8勝 9勝 8勝 11勝 9勝 ? )
⑤美ノ海士 42勝(7勝 7勝 8勝 10勝 10勝 ? )
⑦王鵬 41勝(10勝 7勝 6勝 9勝 9勝 ? )
⑧阿炎 40勝(8勝 9勝 10勝 8勝 5勝 ? )
⑧若元春 40勝(10勝 9勝 4勝 6勝 11勝 ? )
⑧琴勝峰 40勝(9勝 8勝 8勝 8勝 7勝 ? )
⑪隆の勝 39勝(10勝 5勝 8勝 12勝 4勝 ? )
⑪正代 39勝(4勝 8勝 7勝 10勝 10勝 ? )
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㉝照ノ富士 27勝(13勝 2勝 0勝 12勝 0勝 休場 )
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㊷尊富士 13勝( ー 13勝 0勝 ー ー ? )
※尊富士は一月、七月、九月場所は十両
大の里は今場所、12勝を挙げればほかの力士は誰も追いつけず、単独で年間最多勝が決まります。新入幕を果たした年に年間最多勝となれば、1960年の大鵬以来2人目。ここでも大横綱の名が出てくるあたり、大の里のスター性を感じます。今年は14勝以上で優勝した力士がいないので、大の里にはぜひ全勝優勝を目指してほしいところです。
最後に。十一月場所開幕に合わせたのかどうか、11月9日の朝日新聞朝刊の別刷りbe2面、be RANKINGは「あなたの好きな戦後の横綱」でした。トップ20は①千代の富士②大鵬③若乃花(初代)④貴乃花⑤柏戸⑥北の湖⑦輪島⑧北の富士⑨稀勢の里⑩栃錦⑪白鵬⑫若乃花(三代目)⑬曙⑭照ノ富士⑮玉の海⑯朝潮⑰千代の山⑱双葉山⑲武蔵丸⑳大乃国。現理事長の北勝海、元理事長の三重ノ海、おしん横綱・隆の里、平成初の横綱・旭富士、そして朝青龍、日馬富士、鶴竜のモンゴル勢が入っていないのは朝日新聞読者のランキングだから、と思うのは考えすぎですかね。