散髪は年1回。

雑記です。

プロの条件。

 秋本治、といえば『こち亀』です。ワタシは単行本全200巻をコンプリートしています。

 彼は『こち亀』以外にも多くの作品を残しています。下の写真は、短編集第2弾の『新元禄太平記』、1980年11月の初版です。表題の時代劇アクション「新元禄太平記」のほか、「酷道4000キロ」「柴又戒厳令」の短編2作、計3作が収められています。どの作品も秋本節が冴え、面白いです。

 コミックの最後には、「アイデアはどこで考えるの?」のタイトルで、秋本のコラム風エッセイが掲載されています。それによると、アイデアは〈多くの漫画家と同様に喫茶店で考えることにしてます〉とし、仕事のしやすい喫茶店の条件をのべたあと、〈〆切日だけは守るのがぼくの鉄則〉と、プロとしての条件を記しています。

〈たとえアイデアが出なくても、無理に考えだします〉〈気分がのらないからとか、〆切が迫らないとやる気がしないとかいう作家がいますが、ぼくは“おくれても、良い作品を”というより“〆切までに出来うる作品を”です〉〈誰でも時間や手間をかければいい物が出来るはずです〉〈みんな“〆切”という条件の中でやっているので自分だけ時間をかければ他の人よりいい物が出来るのはあたりまえです〉〈“手をぬいても〆切に間にあわせる”というのではなく、〆切ギリギリまでがんばって、自分のもっている力を百%出しきれば悔いがないということです〉〈スケジュールをコントロールし、期日までに仕上げることが、プロだと信じています〉

 まったくもって、そのとおりだと思います。当時の秋本はまだ20代。『こち亀』の連載開始から5年も経っていない時期です。本人も、『こち亀』がこのあと40年も続くことになるとは思っていなかったのではないでしょうか。

 その40年間、中には苦労したな、と思う回もありましたが、前述の言葉どおりに、連載を落とすことは一度もなし。そういえば、秋本もファンだという、いまだ連載中のさいとう・たかをゴルゴ13』も、休載は一度もないと聞きます(ワタシは『ゴルゴ13』もゆっくりとですが買い続けています。現在は150巻台に突入)。

 やはり、プロを名乗る以上、〆切は守ってほしい。当たり前のことです。ジャンルは違えど、最近、実体験としてそう思うことがあったので、『新元禄太平記』にあった秋本の言葉を改めて確認するために、書棚から引っ張り出してきました。

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こち亀』以外の単行本としては、このほか、『平和への弾痕』『白バイファイター夢之丞変化』『こちら人情民生課』『花田留吉七転八倒』『ミスタークリス』『東京深川三代目』などがあります。