散髪は年1回。

雑記です。

「嫌われた監督」落合博満、完結。

 まずはサッカーから。日付変わって2月26日、Jリーグが「川崎フロンターレ×横浜F・マリノス」のカードで開幕します。引き続きコロナ禍で迎える今シーズンもクオーター制(4分割)で進められ、交代枠は5人。昨シーズンと違うのは、J2に降格するのが通常の2チームでなく、4チームだということです。中盤戦以降、優勝争いよりも残留争いが盛り上がる、なんて展開にならないといいですね。

 さて。今日(2/25)発売された『週刊文春』の3月4日号で、約半年にわたった〈連載ノンフィクション〉「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか」が最終回を迎えました。ワタシはこの連載を毎回楽しみにしており、購入後は真っ先に読んでいました。スタートしたのは、去年8月6日に発売された8月13日・20日 夏の特大号から。野球人・落合に大いに興味があったワタシは、期待が高まる、と取り上げていました(こちら)。

 結論からいうと、その期待に応える連載でした。全28回。毎回、ワクワクしながら読みました。

 現役時代から〝オレ流〟で結果を出した落合が中日の監督に就任したとき、ワタシは中日が不気味なチームになる、という予感がしました。実際、1年目のキャンプ初日にいきなり紅白戦を行ったり、3年間一軍登板のなかった川崎憲次郎開幕投手に起用したり、2007年の日本シリーズで8回表まで完全試合を続けていた山井大介を9回に岩瀬仁紀に交代させたり、と常人では計り知れない采配がいくつもありました。しかし、落合にぶれはいっさいなし。自分に絶対的な自信があるんでしょうね。中日を率いた8年ですべてAクラス入りを果たし、リーグ優勝4回、日本シリーズ出場5回(優勝1回)は見事のひと言です。

 うまく書けないのがなさけないのですが、落合博満は一筋縄ではいかない男、得体の知れない男、そして〝プロ〟であることがよくわかりました。彼は〝個〟であり続けました。落合にしか見えない世界があり、それは凡人に理解できるものではない、ということです(ただ、連載のタイトルどおり、落合を快く思わないアンチが多かったのも事実で、それは本人もよくわかっていたようです。確かに、敵は多かったと思われます)。

 連載では、いろいろなエピソードが出てきました。中でも、ワタシが印象に残っているのが、東京駅で新幹線に乗るときの話です。時間ギリギリでやって来た落合は、発車ベルが鳴っているのに「オレは走らねえよ」と急ぐ気なし。記者がもう間に合わない、と思ったら、発車前にトラブルがあったようで、定刻になってもドアが閉まらず、落合は悠々と乗り込みました(このエピソードを読んで思い出したのが、落合の現役時代、フジテレビの「プロ野球ニュース」のオフ企画です。まだ幼かった長男で現声優の福嗣と凧あげをしていた落合は、福嗣が凧から手を放してしまった瞬間、ものすごいスピードで走りだし、凧を追いかけていったのです。シーズン中よりも見事な走りっぷりでした)。

 閑話休題。監督になったとき、落合は選手たちにこう言ったそうです。

「球団のため、監督のため、そんなことのために野球をやるな。自分のために野球をやれ。勝敗の責任はオレがとる。おまえらは仕事の責任をとれ」

 しびれますね。なかなかこうは言えませんよ。ほかにも、うなる言葉はいくつも出てきました。ワタシは野球人・落合のスゴさにうなるばかり(ただし、そのすべてを肯定するわけではありません)。またどこかのチームを率いてほしいと思います。おそらく声はかからないでしょうけど、ね。

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この連載を担当した記者は、プロフィールによると1977年生まれで、1953年生まれの落合とはちょうど2回り年齢が違います。「オレはひとりで来たヤツには話す」と言う落合の信頼を勝ち取ったあたり、なかなかやりますね。なお、近いうちにこの連載をまとめた単行本が発売予定、とのことですが、ワタシは買うつもりはありません。